「カジノ反対の市長を誕生させる横浜市民の会」が望む横浜市長の姿(案)

 3月15日、私たちは、今夏の横浜市長選挙で横浜市政の刷新をめざして「カジノ反対の市長を誕生させる横浜市民の会」を結成した。2019年8月に林市長は、市民の声を聞くこともなく「白紙」から一転、山下ふ頭再開発地区へのIRカジノ誘致を表明して以来、自民党、公明党と一体にその推進を続けている。これに対し、民主主義と住民自治の原理にもとづき、その是非を住民投票によって決定すべきとの運動が「カジノの是非を決める横浜市民の会」によって進められ、40年ぶりとなる直接請求を実現した。この運動に参画した市民、労組、団体を母体に「カジノ反対の市長を誕生させる横浜市民の会」は結成された。言うまでもなく1月に横浜市が公表したスケジュールに照らして、今夏の横浜市長選挙の結果は、横浜市へのIRカジノ誘致をめぐって決定的な意味を持っている。

 私たちは、この運動の経験から何よりも新しい市長には、市民の声に真摯に向き合い、住民自治の原理に確固として立脚した姿勢を貫くことを望む。その当然の帰結として、圧倒的な市民が反対を表明しているIRカジノ誘致は撤回した上で、市民や関係者の合意により、新たな社会経済情勢も踏まえた魅力ある事業計画を再構築することを望む。

 戦後日本の民主的原則のひとつとして地方自治を明記した日本国憲法は、92条で、地方公共団体の組織・運営に関する事項は地方自治の本旨=住民自治と団体自治にもとづくことを規定している。IRカジノを「国家プロジェクト」と国につき従い、住民投票を「意義を見出し難い」と否定した林市長と市長意見に沿い、加えて「軽々に市民に判断を委ねるような問題ではない」と民意を汲むことさえ真っ向から否定した自民・公明の姿勢は、憲法の理念を踏みにじり、地方自治の本旨を見失ったものと言わざるを得ない。

 IRカジノをめぐる姿勢は、地方自治の本旨を見失った市政を顕著に示すものだが、それは喫緊に求められる新型コロナ感染症対策においても少なからず影響を与えていると言わざるを得ない。この間、「IRカジノは熱心だが、市の新型コロナ感染症対策が見えない」という市民の声が多数寄せられている。確かに横浜市も昨年来、5次にわたる補正予算を組み、対策を実施しているが、その施策の多くは国や県の施策を実行するものであり、基礎自治体として感染拡大を抑止し、困難に直面する市民や医療、福祉、飲食などの事業者を支える施策に乏しいと指摘せざるを得ない。一方で新型コロナ禍前に策定された「中期4か年計画」にもとづく大規模な都市開発事業は着々と進行させている。現在の困難を解決せずに、未来への希望は生まれない。地方自治の本旨を見失った市政には、市民の声に真摯に耳を傾け、真に市民に寄り添い、困難を解決するための施策を実行する、真に市民本位の市政はできない。 私たちは、憲法と地方自治の理念を市政のすみずみに活かす市長を望む。それは、すべての市民が個人として尊重され、その基本的人権が何よりも大切にされる市政であり、それこそが、真に市民に寄り添う市民本位の市政であり、ヨコハマを希望にあふれるまちにする市政であると確信する。